買いたい新書

「岩波」「中公」「講談社」からスタートした縦長の本「新書」。
200〜400頁で、値段も手頃なため出版不況が深刻化してきた2000年頃から、各社から出版され「新書戦争」と呼ばれるほど刊行点数が増え、現在では品切れ・絶版をふくめ1万点以上が市場に出ていると思われます。
平均300頁として300万頁の「知の宝庫」です。
【買いたい新書】では、新書・文庫を中心に「必読良書」を紹介して行きます。

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書評者プロフィール

難波 紘二(なんば こうじ)
(なんば こうじ)
1941年広島市生まれ
 広島大学医学部大学院博士課程修了.呉共済病院で臨床病理科初代科長として勤務.NIH国際奨学生に選ばれ米国NIHCancerCenterの病理部に2年間留学し、血液病理学を研鑽.広島大学総合科学部教授となり、倫理学、生命倫理学へも研究の幅を広げ、現在、広島大学名誉教授.自宅に「鹿鳴荘病理研究所」を設立.2006年に起こった病気腎移植問題では、容認派として発言し注目される.
 著書に『歴史のなかの性―性倫理の歴史(改訂版)』(渓水社、1994)、『生と死のおきてー生命倫理の基本問題を考える』(渓水社、2001)、『覚悟としての死生学』(文春新書、2004)『誰がアレクサンドロスを殺したのか?』(岩波書店、2007)などがある。
 広島大学総合科学部101冊の本プロジェクト編『大学新入生に薦める101冊の本』(岩波書店、2005)では、編集代表を務めた.

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リファレンス本

「買いたい新書」連載にあたって   難波紘二

 90年代の初めにインターネットが出現して以来、必用な情報を素早く入手することが可能になりました。携帯とネットが接続して、最近では何処にいても音楽や動画を楽しめるようになりました。1455年のグーテンベルグによる活字印刷の発明以来の「情報革命」が、いま進行中です。が、それらは情報断片です。
 他方で、従来型の印刷本も「出版不況」といわれながらも、日本では年間約7万点が出版され、店頭に溢れています。本を読むことについて、古人はこう言っています。「書物を開くと、昔の人と会話できるのが楽しい」(アリストテレス)、「一人燈火の下で書物を広げて、遠い昔の人を友達にすることほど、楽しいことはない」(兼好法師)、「楽しみは、そぞろ読みゆく書(ふみ)の中(うち)に、我とひとしき人をみし時」(橘曙覧〔たちばなのあけみ〕、幕末の福井藩学者)
 今の世の中、「専門化」が行き過ぎて、若い人の「教養不足」が問題とされています。派遣労働者問題、失業率の増加問題なども、雇われる側に教養不足があり、つぶしが利かない点に雇う側が二の足を踏んでいるのが一因です。
 「教養とは、専門的知識はなくても、話し手の説明の中で、どこが正しくて、どこが間違っているかを、適切に判断出来る能力である」(アリストテレス)。「教養は、順境にあっては飾りであり、逆境にあっては避難所である」(同)。そしてこの高齢化社会、やがて誰でも歳をとり、会社人間から離れます。会社で維持してきた人間関係を失ったとき、孤独が待ち受けています。その時こそ、読書によって得られた教養が、人を支えてくれるのです。「教養は、老齢にとってのもっとも素晴らしい路銀である」(同)
 この連載では、私が今まで読んできた本、これから読む本だけでなく、選書法、速読法、本の整理法についても紹介する予定です。

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